Tiger Camouflage Tour Jacket “7th COMM.”
★TAILOR TOYOより、ベトナムツアージャケットの入荷。 戦地で過ごした日々の記憶を、袖を通すたびに辿れる一着へ。この一枚を、ぜひお楽しみください。★
皆様、こんにちは!
まだまだ暑い日が続きますが、お盆も過ぎますと、少しずつ秋物の入荷が始まってまいります。
本日はTAILOR TOYOより、実に面白いジャケットが入荷してまいりましたので、ご紹介させていただきます。
「ベトジャン」と聞けば、皆様はどんなジャケットを思い浮かべるでしょうか?
ブラックやオリーブのコットンツイルに、虎、龍、福の文字、そして背中にはベトナムの地図。
いかにも土産物らしい、少々荒々しく、それでいて何とも言えない愛嬌のある刺繍。
恐らく、そんな姿を想像される方が多いでしょう。
ところが今回のジャケット、一目見ただけでは、一般的なベトジャンとは随分と様子が違います。
まず目に飛び込んでくるのが、全面に使われたタイガーカモフラージュ。
そして形そのものも、いわゆるベトジャンらしいスタイルではなく、デニムジャケットを模したデザインになっているんですね。
龍も虎の刺繍も無ければ、背中いっぱいのベトナムマップも無い。
それでも間違いなく、これはベトナム戦争という時代から生まれたスーベニアジャケットです。
むしろ、定番的なベトジャンの姿から外れているからこそ面白い。
そんなジャケットをご紹介いたします!!

Tiger Camouflage Tour Jacket “7th COMM.”
テーラー東洋は、実物のヴィンテージウェアを一着ずつ検証しながら型紙へ落とし込み、現代の体型や素材事情に合わせて再構築するブランドです。
柄や色味を写し取るだけでなく、生地の織り方から縫製の順序まで、当時の仕立て屋の手つきを追いかける姿勢が「復刻」という言葉だけでは片づけられない説得力を宿しています。
ベトナム戦争という時代の空気をまとった一着を、リプロダクトとしてではなく一枚の実用着として現代の生活に馴染ませること。
当時の実物を分解して糸の運びや裁断の癖まで確認し、量産ラインに戻す過程で失われがちなディテールを一つずつ拾い直す。そうした地道な検証の積み重ねが、テーラー東洋というブランドの背骨になっています。

東洋エンタープライズの資料によれば、このモデルのベースとなったヴィンテージは、デニムジャケットを模したスタイルにネイビー系のタイガーカモフラージュ生地を使用し、米兵によってカスタムオーダーされた一着。
さらに左袖には、アメリカ海兵隊 **第7通信大隊(7th Communication Battalion)**の部隊章が縫い付けられていますが、同部隊は1966年から1969年にかけてベトナムに駐留しており、このパッチもまた、このジャケットが持つ背景を語る重要なディテールとなっています。
そもそもベトジャンとは、1960年代から1970年代のベトナム戦争期に生まれたスーベニアジャケット。
帰還までの日数を数えながら、思い思いのディテールを縫い足していく――それが「ツアージャケット」と呼ばれる文化です。
戦後の日本で生まれたスカジャンと同じように、現地に駐留した兵士たちが帰国の際の記念品として作らせたものです。
一般的にはコットンツイル、あるいはカモフラージュ柄のポンチョライナーなどを使い、太くマットな色糸による刺繍が施されたものが多く存在します。
つまり、軍から正式に支給されたユニフォームではありません。
ここが面白いところでして、兵士が自分の為に作らせる物ですから、そこには規格というものが存在しない。
ベースとなるジャケットも違えば、生地も違う。
刺繍も違うし、部隊章を付ける者もいる。
だからこそヴィンテージのベトジャンには、時として「こんなのあるの?」と思ってしまうような個体が存在するわけです。
今回のジャケットは、まさにそんな自由さを体現したような一着。
今回使われているのは、ネイビーを基調としたタイガーカモ。
タイガーストライプというだけでも存在感がありますが、このネイビー系の配色が非常に良い。
グリーン系のタイガーカモと比較すると土臭さが抑えられ、迷彩でありながら不思議と街着として馴染みやすいんですね。
しかも、このタイガーパターンを用いたオリジナルのヴィンテージ自体が非常に珍しく、高く評価されている個体であると東洋エンタープライズも説明しています。
そして、この生地を載せるボディがまた良い。

形としては、フロントに胸ポケットを備えたデニムジャケットタイプ。
ベトジャンというカテゴリーに属しながら、その姿にはアメリカンワークウェア的な匂いが漂います。
普通のベトジャンとは全く違う。
かと言って、単なるカモフラージュのデニムジャケットでもない。
この何とも説明し難い立ち位置こそ、このジャケット最大の魅力なのかもしれません。

左袖には先述したU.S. MARINE CORPS 第7通信大隊のパッチ。
全面タイガーカモというだけでも十分な迫力がありますので、装飾を必要以上に盛らず、この部隊章がアクセントとして効いている。
これも非常に良いバランスです。
そして、見落としたくないのがラベル。
今回のモデルでは、1960年代当時のベトナムをイメージしたオリジナルラベルを新たに製作。
ヴィンテージの個体を単純にコピーするだけではなく、そのジャケットが生まれた時代背景まで含めて一着を組み立てる。
こういう部分は、長年スーベニアジャケットを作り続けてきたTAILOR TOYOらしい仕事と言えるでしょう。
表地にはコットン100%を使用し、刺繍部分にはレーヨン100%を採用。
着込んで生地が馴染み、少しずつ表情が変化していけば、この独特な迷彩柄にもさらに深みが加わっていくことでしょう。
ベトジャンを既にお持ちの方にも、これは全く別物として楽しんでいただけるでしょう。
逆に、刺繍が大きく入ったベトジャンは少々ハードルが高いと感じていた方にも面白い選択肢。
ミリタリーであり、ワークでもあり、そして紛れもなくスーベニアジャケット。
このどこにも完全には収まらない感じが良いんです。
TAILOR TOYOが手掛ける物には、単に「昔の服を復刻した」というだけでは終わらない面白さがあります。

ネイビーからパープルにも見える独特なタイガーカモに合わせたのは、先日ご紹介しましたCOLIMBOのチノパン。
上下ともにミリタリーを背景に持つアイテムですが、迷彩柄に対して無地のグレーを合わせることで、軍物同士でも決して土臭くなり過ぎません。
特にグレーという色が良いんですよね。
オリーブやカーキを合わせれば、よりストレートなミリタリースタイルになりますが、あえて無彩色のグレーを挟むことでタイガーカモの色彩が際立ち、全体としては随分と都会的な印象に仕上がります。
パンツは程良くゆとりを持ったチノらしいシルエット。
余計な物を足さず、このジャケットそのものを主役として楽しんでいただきたいところです。
ネイビーのタイガーカモ。
デニムジャケットを模したボディ。
そして、第7通信大隊の部隊章。
それぞれを単体で見ればミリタリーウェアとして理解出来るものですが、それらが一着に集まった瞬間、何とも説明し難い独特な格好良さが生まれます。
ヴィンテージというものは、必ずしも完成された物だけが魅力的なのではありません。
「何故こんな組み合わせになったのだろう?」
そんな疑問を抱かせる物ほど、その背景を知りたくなってしまう。
そして、その答えを探していくうちに、いつの間にか物そのものにも惹き込まれている。
まさにそんな一着なのではないでしょうか。
軍服でもなく、単なるワークジャケットでもない、兵士の記憶から生まれた自由なスーベニアウェアだからこそ存在し得た異端の一着を、是非お楽しみください。


