MUSHMANS 10th Anniversary Tour "Get your kicks on Route66" [Episode-1]-Departure/出発
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[Episode-1]
Departure
〜出発〜
2019年7月6日AM5:00(現地時間)
数年前から、この日の為に準備した。
その日がとうとう来てしまった事に対して、当日の朝はこうもアッサリした感覚なのか?とちょっとした拍子抜け感を覚える。
いつもの一日の始まりのような、そんな感覚。
そして心の奥底で何か足りていないような感覚も。
それもその筈、俺たち以外にとって世間は別段特別な日でも何でも無い、俺たちだけが非日常を覗きに行こうとしているだけで、世間は淡々と日常を開始する時間なだけだ。
そして、その何か足りていない感覚も今は理解できる。足りていないピースを埋める為に旅に出るからだ。
待ちに待ったその日が来れば、そのピースが埋まる訳ではない。
これからの9日間で起きる事による経験で、そのピースを埋めるんだから。

出発の数日前、店舗移転に伴う建築に大きな進捗があった。
地鎮祭を完了し、基礎の着工。
この建築に関しても、数年前から気を揉んだ。
これまでの下準備も大変だったが、こうやって実際建築が始まると、これからもそれ以上に気を揉む事になる事は容易に想像できる。
それを一旦切り離して、出国する事に対する不安も勿論大いにあった。
そして、この10年間、9日間も連続して店舗を休業するという事が無かった。
そんな恐ろしい事は出来ないと、そう思っていた。
今後、このように9日間も休業するような事はなかなか無いだろうと思う。それだけ肝を冷やした行為だった。

集合場所、浅草駅 AM6:00(現地時間)
この旅に同行できないMUSHMANS MCの仲間がサプライスで見送りに来てくれた。
そして、心配するご家族も。夫、父の無事を願っての事だ。
はっきり言って、この旅は危険だ。
同行する人間は、勿論私も含めてだが社会に参加している人間達である。
そんな所謂"社会人"と呼ばれる人々が、大型連休でも無い中の平日に休暇を取って行く旅。
土日を含めても9日間というギリギリの休暇。
9日間という休暇を取得できただけでも奇跡だが、その日数の中で日本からアメリカへ渡り、アメリカ大陸を横断、そして帰国しなければならない。
実質アメリカを横断する為に割ける日数というのは6日間しかない。
6日間で凡そ5,000km。
勝手の解らない異国の地をクルマとバイクだけで走り切るには、ちょっとした無理をする必要があるのだ。
この旅の為に、日本国内で訓練した。
一日1,000km程度なら全然余裕、その位まで全員が鍛錬した。
ただし、異国の地で連日1,000km近くを走る。
さらにこの時季のアメリカは極めて暑い。
そう、はっきり言って、この旅は危険だ。

そう危険だ。
テンションが上がり、出発ロビーでウ〇コ座りする大人が一番危ない。
一年経って冷静に見かえすと、この写真の人物が無事に還って来られた事に奇跡を感じる。
危険だ。

この日の為に、大手を振って休めるように、全ての仕事を片付けてきただろう。
そりゃフライト前のビールも美味い訳だ。
これから幾度となく乾杯をする事になる筈だ、一人も欠ける事無く、全ての日程で毎日乾杯できるよう。
そう願いながら、最初の乾杯!

あれが、俺たちを非日常へ誘う箱。
ほのかに香るジェット燃料の燃える匂い、そう、この匂いが好きだ。

旅のメンバー
Yusuke Saito(斉藤 佑輔)左
Hiroshi Yamazaki(山�ア 裕司)右

旅のメンバー
Michio Kaji(加地 未知男)左
Masahiko Sakyo(佐京 征彦)中
MUSHMANS Staff Sugai Rumiko(菅井 留美子)右
日本から向かうのは、彼ら5名に私を含めた計6名。
MUSHMANS Staff以外は、MUSHMANSに日頃集うお客様でもあり
気の置けない仲間でもある。
日頃一緒に走っているメンバーであると言っても、アメリカを横断するという事になると時間もコストもリスクも、いつものツーリングとはケタ違いになってくる。
さらに、皆立場のある会社員でもあり、これだけの休暇を取得するには、それ相応の実績が無ければならない筈だ。
遊びに一生懸命になれる人間は、当然仕事にも一生懸命だ。だからこそ実績が付いてくる。
全休暇の日数が9日間、往復のフライトで24時間近く消費するから、実質アメリカ滞在は7泊8日、走る日数は6日間という事になる訳で、それほど長期滞在ではないものの、コストは想像以上のものとなる。
ここにきてコストの話というのも如何なものか?と思うのだが。。。これは、重要な話なのだ。俺たちの現実を知って欲しい。
往復に必要な航空運賃、現地でのコーディネーター手配、バックアップトラック、レンタカー、レンタルハーレー2台(シカゴ→LA間の乗り捨て料金がヤバイ)、これらに宿泊費等とザックリ計算して、一人当たりに割ってもちょっとした中古車が買えてしまう程のコストが掛かるという事が容易に想像いただける事であろう。
これだけの費用を、この短期間に消費するという事に対してどう思うのか。
それが分かれ道となる部分である。
形ある物ではない"事"に対するコストだ。
私の個人的見解だし、メンバーにとってとても失礼な事かもしれないが、、誰一人として、このコストを簡単に余裕で捻出できるメンバーはいない、と思っている。皆が頑張って必死に働いた事で生まれたものだ。必死に。
だからこそ、皆が後の人生において宝物にできるような、そんなツアーにしないといけない。
全員が本気、超本気。
一瞬たりとも見逃さない、隅から隅まで楽しみ尽くす。
そんな意気込みだ。
だからこそ出来る経験がある。
価値というものを、どこに何に見出すか、それは100人居たら100通りの方向性で異なる価値がある。
そんな中、たまに同じ価値観を持った人が居る、そういった人間が集まると不可能な事も可能になる。
それが、今回のツアーだ。
一人では到底不可能。
さあ、行くぞ!!

2019年7月6日 AM10:40(現地時間) Take off.
MUSHMANS 10th Anniversary Tour "Get your kicks on Route66"




